【新型コロナウイルス問題】収入が減り、住宅ローンの返済が難しくなりました。どうすれば良いですか? 注意することあれば教えてください
新型コロナウイルスの感染拡大が原因の収入減少により、住宅ローン返済が困難になってしまった方は、まず毎月の返済額を軽減する手続きを銀行で取りましょう。特に、住宅金融支援機構は返済計画の見直しを積極的に検討してくれます。また、固定資産税や市府民税、健康保険などの税金納付に関しても役所へ相談に行き、減免措置や分納措置を検討してもらいましょう。それでもまだ、住宅ローン返済が困難な状況にある方は、専門家へご相談なさることをオススメします。
目次
当コラムは、免疫学や感染症学などの医学的な見地から新型コロナウイルスに関して解説するものではございません。
住宅ローン返済・滞納問題解決の専門家として、新型コロナウイルス感染拡大の状況下における住宅ローン返済・滞納に関するお悩み解決のアドバイスを行うものです。
なお、各金融機関における新型コロナウイルス感染拡大に伴う住宅ローン返済への対応は、終了している可能性が高いです(2024年5月時点)。必ず、最新情報をご確認ください。
2020年3月から続く新型コロナウイルスの感染拡大。幾分、経済活動は回復基調ではあるものの、それは業種業態によるところが大きいと感じられます。その収束が見えない中、安定した収入、十分な収入を得られず、住宅ローンの返済が難しくなってしまった方やそうなってしまうのでは?と心配される方が増えています。
実際、住宅ローン返済問題の解決を専門としている当社へも、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けてのご相談にいらっしゃる方が絶えません。
住宅ローンの返済額は収入額の約2〜3割を占める大きな支出です。収入減少の影響を大きく受けてしまいますし、生活の基盤となる家は、誰しも「絶対に守らなければならない」という強い思いがプレッシャーとなり、精神的負担となる方もいらっしゃいます。
新型コロナウイルスの感染拡大がいつ収束するのか、まだまだわからない状況です。どんな方でも、住宅ローンの返済が難しい状況になりうると言っても過言ではありません。
そこで、「そうなってしまわないよう、今できることは何か?」さらには、「万が一返済ができなくなってしまった場合、どのような手立てを打てばよいのか?」についてお話します。
加えて、こうした状況になると必ず現れる悪徳業者への注意喚起、さらには、みなさんには絶対に手を出していただきたくないことについてもお話します。
❶ まずはムダな出費を減らしましょう
「住宅ローンの返済が難しくなるかも・なりそう」という方へ
まずできることは、無駄な出費を抑えること、つまり、「節約」です。
毎月何にどれだけお金をつかっているか把握されていますか?
家計簿をつけている方でしたら、すぐに言えるでしょう。
しかし、家計簿をつけず、頭の中で生活費という大きなくくりで管理されている方のほうが、多いのでははないでしょうか。
生活費には食費、水道光熱費、遊興費、通信費などの内訳があります。
それぞれ、どれだけ使っているのかを把握してください。
例えば、当社で債務整理のお手伝いをすることになったご相談者には、家計収支表をつくってもらうようにしているのですが、皆さん、それにより「いかに無駄な出費をしてしまっているのか」とお気づきになります。
代表的な無駄な出費は、食費と通信費、保険料です。
◎まず、食費の無駄をなくす
食費で目立つのが、コンビニでの買い物です。なんでも揃うコンビニでは、あれもこれもと目移りしてしまいますよね。1,000円を超える買物ってよくありませんか? 単純計算、これが毎日続けばひと月で3万円もの出費です。
また、それに加えて外食もされるでしょう。毎週末外食されれば、それだけで毎月5〜6万円は簡単に消えてしまいます。
新型コロナウイルス問題が騒がれている間だけでも良いですから、家での自炊に努めてください。そうすれば、簡単に数万円の節約ができますよ。
◎通信費の無駄をなくす
わかりやすく言えば、「スマホ代」「携帯代」です。ご相談者さまの中には、毎月5万円以上の料金を支払っている方もいらっしゃいました。
プランを見直し、スマホゲームはほどほどにし、電話はLINEの無料通話を利用するですとか、工夫して節約に努めましょう。
家族の人数によっても変わりますが、1家族で月1万円程度に抑えることもできます。
◎保険料の無駄をなくす
生命保険の見直しは定期的にされていますか? 保険商品は時代のニーズととも変化する商品です。加入手続きをしてから数年それっきり…という方は、これを期に見直してみてください。案外、大きな節約に繋がるかもしれません。
電気・ガス料金の支払いが困難な場合は、電気・ガスの契約をしている小売電気事業者・ガス小売事業者に相談してみてください。
❷ 金融機関へ返済額の減額・返済期間延長の相談をしましょう
「住宅ローンの返済がもう難しい状況に至りそう・既に至っている」という方へ
生活費を見直し、節約してもなお、住宅ローンの返済が難しい状況、または、既に至っている方は、住宅ローンを組んだ銀行などの金融機関へできるだけ早く相談にいらしてください。
「新型コロナウイルスによる影響を受けた方」という相談窓口を設けて相談にのっている銀行があります。
このような社会情勢となれば当然、銀行も手を差し伸べてくれるのです。
金融庁は民間金融機関に対して、住宅ローンの支払いが困難な場合、返済期間の延長や猶予など柔軟に対応することを即していますが、一部金融機関では相談してもなかなか対応してくれないといったことがあります。その場合は金融庁へ相談してみるとよいでしょう。
金融庁の相談窓口:0120-156-811
(通話料無料、平日午前10時~午後5時まで)
では、銀行へ相談に行くと、どのような解決策を提案してもらえるのでしょうか?
代表的な提案をご紹介します。
◎元本据置(一定期間の減額)
住宅ローンの毎月の返済は元本と利息の合計になっていることをご存知でしょうか。その元本部分を一定の期間(1年程度)だけ返済を待ってもらい、利息の分だけを返すことにし、毎月の返済額を減額するというものです。
半年に一度銀行から送られて来る「返済計画表」をご覧になってみてください。それを見れば、ご自身の今の元本と利息の額がわかります。元本部分の返済を待ってもらうだけで、かなりの減額を期待できることをおわかりいただけるハズです。
しかし、借金が減るのではなく、むしろ、借金の額は増えてしまうということは理解しておいてください。一定期間が過ぎた後は、据え置いてくれた元本部分が以前の元本部分に加算されるからです。ですので、毎月の返済額は増えることになります。あくまで一時的な手段であることを押さえておいてください。
◎返済期間の延長
返済期間を延長してもらい、毎月の返済額を軽減するというものです。ただし、最長15年、完済時の年齢が80歳を越してはいけないというのが一般的な条件になります。
これについても、返済期間が延長されるわけですから、その分利息が増えます。最終的な返済額は以前の額よりも増えてしまうことを知っておいてください。
◎ボーナス返済の見直し
ボーナス返済を利用している方は一時期に比べれば減ってきましたが、それでもまだまだボーナス返済をしている方はいらっしゃいます。毎年夏と冬の2度訪れるまとまった金額の返済は、収入減少ともなれば、かなりの負担です。このボーナス返済をなくせます。
しかし、なくしたボーナス部分が毎月の返済分に充当されるため、結果、毎月の返済額が増えてしまうことになります。
そこで、ボーナス返済をなくした上で、上述の「元本据置(一定期間の減額)」と「返済期間の延長」を組み合わせ、毎月の返済額を減額します。
●三井住友銀行
新型コロナウイルス感染症の影響に関する個人のお客さまへの対応について
●みずほ銀行
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関する資金繰り相談窓口
●りそな銀行
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う対応について
●三菱UFJ銀行
ご返済条件の変更
●住宅金融支援機構
新型コロナウイルス感染症の影響により機構の住宅ローンのご返済にお困りの方へのお知らせ
【京都・大阪・兵庫の金融機関窓口】
●京都銀行
新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴う個人のお客さまへの対応について
●京都中央信用金庫
「新型コロナウイルス感染症」融資相談窓口等設置について
●京都信用金庫
「新型コロナウイルスに関する「融資相談受付窓口」について
●関西みらい銀行
「新型コロナウイルス感染症」の流行により影響を受けるお客さまへのご対応について
●大阪信用金庫
「新型肺炎対応融資相談受付窓口」の設置について
●近畿労働金庫
新型コロナウイルス感染症の影響拡大による収入減少に伴う各種ご相談について
●池田泉州銀行
新型コロナウイルスの感染拡大により影響を受ける事業者・住宅ローンご利用の方々へ
❸役所へ納税の減免、猶予、分納を相談
銀行へ相談に行くもさらに住宅ローンの返済が厳しい」という方へ
不動産を所有すると固定資産税が発生します。
その他にも、市府民税、国民健康保険、社会保険などの納付義務による負担額も大きいものです。
そこで、国(国税庁)や各自治体(京都市・大阪市・神戸市・大津市・奈良市)、市税事務所では、新型コロナウイルスに関する相談窓口を設けています。
納付期限の延長や減免、猶予、分納といった形で対応してくれますので、負担が大きくお困りであれば、住宅ローンの銀行への相談と併せて役所へも相談へいらっしゃることをオススメします。
ちなみに、各自治体では新型コロナウイルスによる影響を受けた方に限らず、納税の猶予や減免についての要件が決まっています。
※京都市の場合
■納税の猶予
納税者が次のいずれかに該当し、市税の納付が困難と認められる場合には、申請によって、原則1年以内の期間に限り、納税の猶予を受けることができます。
- 災害を受け又は盗難にあったとき
- 本人又は家族が病気にかかり又はは負傷したとき
- 事業を廃止又は休止したとき
- その事業につき著しく損失を受けたとき
- 1〜4までに該当する事実に類する事実があったとき
■市税の減免
不幸にして家事や地震などの災害にあったり、生活扶助を受けているなど特別な事情がある場合には、その事情に応じて、市税を減免する制度があります。
納税義務者が下記の要件に該当する場合は、市税が減免されることがあります。
減免の申出は、原則として、その税の納期限までに減免申出書を提出することが決まっています。
税の種類 | 主な要件 |
---|---|
個人の市民税 | ・生活扶助を受けている場合 ・災害を受けた場合 ・失業した場合 |
軽自動車 (種別割) |
・障害者又はその家族が所有する車で、障害者自身が使用する場合又はその家族がその障害者のために使用する場合 ・生活扶助を受けている場合 ・災害を受けた場合 |
固定資産税 都市計画税 |
・生活扶助を受けている場合 ・災害を受けた場合 |
事業所税 | ・災害を受けた場合 |
すでに税金滞納が発生し、役所への対応を何もしていない方は、早急に相談にいくなどして対応してください。納税をする上で重要なことは、納税意志があるかないかです。納付できるできないにかかわらず、相談するという行為こそが納税意志に繋がると役所は考えます。新型コロナウイルスで役所も積極的に相談にのることをしていますが、何も相談がなければ、法律にもとづき、強制的な徴収手続きを(不動産、保険証券や銀行預金、給料の差押え)とってきます。ご注意ください。
❸助成金や融資を利用する
いつまで続くか分からない新型コロナウイルス感染拡大、やはりお金が必要になります。
助成金や支援金を受け取れる制度がありますので、こういったものも活用するなどしてください。
公的機関からの個人向けの助成金や貸付は少ないですが、中小企業を対象とする事業者への助成金や融資を受けることができるようになっていますので活用してください。
◎給付
●生活困窮者自立支援制度(厚生労働省)
→離職等により経済的に困窮している方に対する支援制度。家賃相当額を支給する「住居確保給付金」などがあります。
●住居確保給付金(厚生労働省)
→上記制度のうち家賃相当額を原則3か月間支給するもの。都道府県別リンク集はこちら
●【受付終了】特別定額給付金(総務省)
→住民基本台帳に登録されている者へ1人につき10万円給付。受給権者は世帯主。申請は郵送かオンライン。
◎融資
●生活福祉資金貸付制度(厚生労働省)
→低所得世帯等に対して生活費等の必要な資金の貸付等を行う制度。
●緊急小口資金、総合支援資金(厚生労働省)
→上記制度のうち新型コロナの影響による特例措置の対象となる貸付資金。全国の市町村社会福祉協議会で受付。
【事業者への融資】
●日本政策金融公庫
新型コロナウイルス感染症特別貸付(小規模・個人事業主)
●日本政策金融公庫
新型コロナウイルス感染症特別貸付(資本金1000万円以上の中小企業)
●大阪府
「新型コロナウイルス感染症対策資金(経営安定資金 危機関連)」
●奈良県
緊急支援(コロナ対策)
●兵庫県
新型コロナウイルス感染症の流行に対する緊急の制度融資
●京都市
新型コロナウイルスに関する事業者向け支援制度
●滋賀県
中小企業者向け制度融資のご案内(新型コロナウイルス関連)
【事業者への助成金・補助金】
●経済産業省・中小企業庁
持続化給付金
●厚生労働省
雇用調整助成金
●厚生労働省
テレワークの導入助成金、働き方改革推進支援助成金
●中小機構
生産性革命推進事業の各補助金の特別枠
●厚生労働省
小学校休校等対応助成金
●京都府
【受付終了】中小企業等新型コロナウイルス対策緊急支援補助金
●滋賀県
新型コロナウイルス感染症対策経営力強化補助金
❹私たちのような専門家に相談する
「銀行、役所にも相談し、もうどうすることもできない」という方へ
上記、銀行や役所にも相談するも、住宅ローンの返済が難しい場合は、やはり私たちのような住宅ローン返済問題の専門家に相談した方がよいでしょう。
銀行や役所もある程度の条件であれば、それなりの対応をとってくれるのですが、返済ができない状態が続いてしまうようであれば、やはり、契約書通りの対応を免れることはできません。
もしそうなった場合、どうしたらいいのかということも、知っておいた方がよいでしょう。
生活の基盤である自宅を守るということを大前提にした場合の解決方法についてご紹介します。
◎個人再生の検討
住宅ローンの返済ができないと、自宅が強制的に売却されてしまうと思われがちですが、決してそうではありません。
個人再生という法的手続きをとれば、自宅を売却、手放すことなく問題を解決できます。
ただし、個人再生は住宅ローンの滞納や税金の滞納があってはいけないことを知っておいてください。
銀行や役所にも相談へ行ったが、解決できる具体的な提案がなされなかった場合には、この個人再生を視野にいれなければならないでしょう。
今の段階、本当にそうなる可能性があるようでしたら、私たちのような専門会社へ早期に相談なさることをオススメします。
◎任意売却によるリースバックを検討
上記、個人再生は全ての人ができるというものではありません。
既に住宅ローンを何か月も滞納している場合、その滞納分を一括して返済し、もとの状況に戻しておくことが個人再生の絶対条件になります。
では、これができなければ、もう住み続けることはできなくなるのかというとまだそうではありません。
最終手段として任意売却によるリースバックが残されています。
しかし、これは個人再生とは異なり、自宅の名義を第三者に移す、いわゆる売却という形をとり、その購入者(投資家)に家賃を支払うことで住み続けることができる手段です。
この方法は最終手段になりますが、知識として頭の片隅おいておいてください。
【注意】絶対にやってはいけないこと!!
経済的に苦し状況が長く続くと、人は誰でも、今の状況から脱したいという強い焦りと、先の見えない極限の不安にかられてしまいます。
特にお子さんがいる方はこの不安は計り知れません。
そういった気持ちを背負いながら生活するのは非常に大変ですが、1つだけ意識しておくことがあります。
それは、重要な判断するときは「冷静になる」ということです。
経済的に苦しくなれば、それを補うためにお金を借りることもあるでしょう。
しかし、借りる相手を間違えてはならず、冷静な判断をしなければなりません。
では、その借りてはならない相手とはどんなところなのかについてご紹介したいと思います。
◎不動産担保ローンを扱う消費者金融には細心の注意を!
不動産担保ローンを扱う消費者金融からお金を借りる際は細心の注意を払ってください。
不動産を担保にしてお金を貸す消費者金融はたくさんありますが、その中で、破綻させることを目的にお金を貸す消費者金融があります。
担保にとっている不動産を関連不動産会社に売却させ、貸金業から得る利益と不動産から生じる利益の2つを狙う仕組みです。
この仕組みの前提には、債務者にローンを滞らせ、契約違反を生じさることがポイントになります。
その為、必要以上にお金借りてくれないかと迫ってきたり、1度くらい返済が遅れても積極的な取り立てはしてきません。
しかし、滞納2回を超えるとそれまでの対応が急変します。
契約書通り、債務者は契約違反となり、期限の利益喪失、一括弁済請求、さらには金利も20%程にまで跳ね上げられ、返済不能の破綻状況になってしまいます。
当然、自宅は売却されることになります。
そこで関連する不動産会社が登場し、債権者主導で売却されることになります。
こういった破綻を前提にしてお金を貸す消費者金融には絶対に手を出さないでください。
☑関連会社に不動産会社がある(インターネットで調べると分かる場合もあります)
☑お金を借りる際、関連不動産会社との間で媒介契約を締結させられる。
☑滞納しても積極的な取り立てはしてこない
☑ダイレクトメールが送られてくる
◎ファクタリングには絶対に手をださないこと!
「ファクタリング」という金融商品ご存知でしょうか。
法律の抜け目を利用した、いわゆる、グレーゾーンビジネスと言われているものです。
お金を貸すという解釈をせず、事務手数料という名目で利益を得ます。
お金を貸す場合、貸金業法という法律に基づき、上限金利などが設けられています。
しかし、ファクタリングはお金を貸す解釈ではないため、上限金利などの縛りはなく、極めて高い事務手数料を要求されることになります。
その仕組みは、会社から毎月もらう給与(給与債権)や入金待ちの請求書(売掛債権)をファクタリング会社に7割程の金額で売却(債権譲渡)し、残り3割を事務手数料として支払うというものです。
例えば、今月末に30万円の給料が入ってくるとしましょう。
ファクタリング契約をすると、21万円が即日あなたに支払われ、給料日にファクタリング会社へ21万円の支払いに加え、事務手数料として9万円を支払うことになります。
ちなみにこれを金利換算にすると、利息は40%以上になり、貸金業法の上限金利をはるかに超えるものとなります。
近い将来、法律の規制対象になると言われています。
こういったファクタリング会社には絶対に手をださないでください。