自営の美容室の経営難で住宅ローン滞納、競売に。自宅兼店舗の任意売却リースバックに成功し、自宅への住み続けはもちろん、美容院の存続にも成功

この解決事例の要点

自宅1階を改装して始めた美容室。開業当時は近所の人や知り合いも来てくれ、店は賑わったものの、駅前に美容室が増えるたびに売上は減少。経営難でついに住宅ローン滞納してしまい、競売に。「とにかく借金を解決したい」とのご希望でしたが、任意売却リースバックの成功で自宅兼店舗を残すことができ、住み続けと美容院の存続の両方に成功しました。

ご相談者について

ご相談者岩下夫妻さん(仮名) / 当時 60代 / 夫妻
お住まい京都府城陽市
物件自宅兼店舗の一戸建
ご職業夫: 無職 / 妻: 自営業(美容院)
ご家族構成夫婦2人暮らし
残債務900万円(住宅ローン)
ローン債権者三井住友銀行(SMBC信用保証)

ご相談の時期

岩下さん夫婦が当社へ相談こられたのは、裁判所から「担保不動産競売開始決定」の通知が届いたときでした。また、来週、裁判所の執行官が自宅を見に来るといことで、心配になり当社へ来られました。

経緯とご相談内容

20年前に岩下さん夫婦は2,300万円で自宅を購入し、美容師の免許を持っていた奥さんは、自宅1階を美容室に改装し自営業も始めました。
開業当時は、近所の人や知り合いも来てくれ、生活に困ることなく、店は賑わっていました。しかし、数年前から、駅前にお洒落な美容院がどんどんできたことで、お客さんが奪われ売り上げは減少の一途をたどっていきました。現在はお店の収入だけでは生活が厳しいため、ご主人さんが体に鞭打って警備員のアルバイトに行っています。それでも、お金が不足するときは、息子夫婦に頭を下げて援助してもらっているそうです。そんな経済状況で数年やってきましたが、ついに、住宅ローンの滞納が始まってしまいました。そして、競売の申立てまで至ったということです。
岩下さん夫婦は、今の借金問題を解決して欲しいという相談でしたが、自宅については住み続けたいという希望をもっていました。家を売却し、引越ししてもどうせ家賃がかかります。その家賃と同じくらいの金額で住み続けることができるのなら、リースバックの方がいいということです。また、自宅に住み続けることができれば、今の美容院も経営できるし、少ないながらの収入でも、今の住宅ローンの返済が無くなれば、なんとか生活はやっていけるのではないかと考えていました。

ご相談者の希望

岩下さん夫妻は、自宅に住み続けることができるリースバックを希望、残る借金については、債務の状況を見ながら、自己破産するかどうかを決めたということでした。

  • 自宅に住み続けたい(リースバック)
  • 借金問題を解決したい

解決のための行動と結果

問題解決

既に競売の申し立てがされていた状況で、任意売却できる期間は残すとところ後3ヶ月、
この期間の中でリースバックをしてくれる投資家を見つけなければなりません。また、岩下さんの収入状況から見て毎月支払い可能な家賃の上限は6万円、また自宅の資産価値も考慮すると、債権者には900万円以内で任意売却を認めてもらわなければなりません。
早速、投資家探しを開始、しかし、なかなか投資家があらわれませんでした。その理由は、岩下さん夫妻が高齢であること、そして岩下さん夫婦の収入状況からみた滞納リスクです。リースバックに投資する投資家はやはり収益として成立するかを慎重に判断します。今回のケースでは900万円での投資はやはり難しいことが伺えました。そこで、金額を徐々に下げることにしました。販売開始から1ケ月経ったとき、750万円で投資したいという投資家が現れました。住宅ローン残債務よりも下回る金額でしたが、競売になってしまえば元も子もありません。その金額で債権者に検討してもらうことにしました。結果、750万円で売却することの同意を得ることができました。そして、契約、決済を無事終わらせ、岩下さん夫妻は家賃6万円のリースバックに成功することができました。
残った住宅ローンは150万円、そして遅延損害金、競売申立て費用を合わせると、合計280万円の借金が残りました。この金額は岩下さん夫婦の生活再建に負担を生じさせると判断、自己破産手続きを進めることで方針決定しました。それから半年後、無事、裁判所の免責許可決定がおり、岩下さんの借金は全て無くなりました。

ご相談者の現在

現在、岩下さん夫妻は6万円の家賃を支払い、これまで通り自宅に住み続けています。そして、美容院も継続しています。お店の売り上げは依然、厳しい状況ですが、住宅ローンが無くなったことで、精神的に楽になったと言っておられました。

最後に

今回、岩下さんはリースバックに成功し、借金も全てなくなりました。しかし、自宅は賃貸になったので、毎月6万円の家賃が発生します。それまでの住宅ローンの返済額9万円と比べ、安くなりましたが、そう大きく改善された訳ではありません。依然、楽でない生活は続くかもしれません。しかし、今回の経験を通じ、岩下さん夫妻には新たな気持ちで、少しでもお店の売上げが上がるよう頑張ってもらいたいものと思います。
しかしながら、リースバックを検討する際、必ず押さえておかなければならいことはがあります。それは「自宅に住み続けることにこだわり過ぎてはならない」ということです。家を守ることができても家賃が支払えなくなっては本末転倒です。“支払うことができる家賃はいくらなのか”を今後の収入と見合わせながら客観的に考えなければなりません。家賃を支払う自信がないのであれば、やはりリースバックを諦めることも検討してください。今回の岩下さんのケースにおいても、家賃6万円は岩下さん夫妻にとって決して安くない金額です。最終的な決断はご相談者になりますが、「生活再建が目的」にあるということをしっかりと認識しておいてください。

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この解決事例の著者

烏丸リアルマネジメント株式会社
代表取締役
矢田 倫基

宅地建物取引士
任意売却コンサルタント
NPO法人 住宅ローン問題支援ネット 理事

これまでに1,200件を超える住宅ローン返済・滞納問題を解決してきた、任意売却のエキスパート。数多くの住宅ローン困窮者を救ってきた面談は「心のカウンセリング」と呼ばれ、関西圏のみならず全国から相談者が後を絶たない。

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