経営難で借金を抱えて事実上倒産。その返済と住宅ローンの返済、さらにキャッシング400万円の借金。任意売却 + 会社の倒産手続き・個人の破産手続きですべての借金を清算
この解決事例の要点
経営難で2,000万円の借金を抱えて運送業の事実上倒産。その返済を個人で抱えて、毎月5万円。加えて10万円の住宅ローン返済の負担は重く、キャッシングと消費者金融で作ってしまった借金400万円。当社へご相談いただき、「任意売却 + 会社の倒産手続き(管財事件) + 個人の破産手続き(同時廃止事件)」ですべてを清算。すべての借金からの解放に成功。
ご相談者について
ご相談者 | 今井 昭さん(仮名) / 当時 51歳 / 男性 |
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お住まい | 京都府長岡京市 |
物件 | 一戸建て |
ご職業 | 会社員 |
ご家族構成 | 妻・子(2人)の4人家族 |
残債務 | 2,400万円 |
ローン債権者 | SMBC信用保証(三井住友銀行) |
ご相談の時期
今井さんが当社へ相談にいらしたのは、銀行から「代位弁済予告通知書」が送られてきたときでした。
その書面には、普段聞きなれない法律用語が羅列されていて、不安にかられて当社へ相談にいらしました。
ご相談内容
今井さんが住宅ローンの支払いができなくなったのは、住宅ローンの他に借金返済があったためです。
現在はサラリーマンですが、実は5年前まで運送業を営んでいました。しかし、会社は経営難に陥り、2,000万円の借金を抱える状態で事実上倒産してしまったのです。それにより、今井さん個人がその借金を背負うことになったのですが、収入に見合わない毎月5万円という返済をすることになったのです。
保証協会の担当者からは、「自宅不動産をいつでも競売にかけることができる」をちらつかされていたため、自宅を守るために住宅ローンの支払い(毎月10万円)と保証協会(毎月5万円)への支払いを何よりも優先して、返済してきました。
しかし、収入に見合わない返済はいつまでも続くわけがありません。返済が苦しいときは、どうしてもキャッシングや消費者金融に頼らざるを得ません。結果、この5年間で新たにできた借金はなんと400万円。切り詰めた生活をしていたにも関わらず、借金がどんどん膨らむ、完全な負のスパイラルに陥っていたのです。
結局、保証協会の返済と住宅ローンも支払うことができなくなり、ついに銀行から「代位弁済予告通知書」を受け取ることに。
今井さんは、この借金から早く逃れたいという気持ちでいっぱいでした。この5年間、着るもの、食べる物、病院に行くことすら我慢し、かなり切り詰めた生活を送ってきました。特にお子さんたちには不憫な思いをさせてきてしまったそうで、涙ながらに語ってらっしゃいました。
ご相談者の希望
- すべての借金から解放されたい
- 負担が少なければ今の自宅に住み続けたい
解決のための行動と結果
下記表が今井さん夫婦の収入・支出状況です。
収入 | 支出 | ||
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夫 | 23万円 | 生活費 | 20万円 |
妻 | 7万円 | クレジット返済 | 2万円 |
消費者金融 | 4万円 | ||
*保証協会 | (滞納中5万円) | ||
*住宅ローン | (滞納中10万円) | ||
合計 | 30万円 | 合計 | 25万円(+滞納分40万円) |
保証協会への返済とと住宅ローンの返済が、収入のほとんどを占めています。
やはり、自宅については任意売却が得策です。また、すべての借金から解放されたいとご希望でしたので、破産手続きも選択肢でした。
結果、今井さんは自宅を任意売却し、残る借金については自己破産で解決するという決断をしました。
自宅の任意売却について
住宅ローンの残債務2,400万円に対して、自宅の資産価値は約2,000万円前後でした。債権者との協議の結果、1,900万円で販売活動をすることに決定。今井さんは、住み続けることも希望の一つとされていましたが、債権者の抹消価格が2,000万円となれば、家賃が非常に高額になると考えられました。
そのため、自宅については住み続ける任意売却(リースバック)を諦め、引越しをする前提で任意売却の販売活動を行いました。結果、販売活動から1ヶ月後、無事購入者が現れ、任意売却を完了させることができました。
破産手続きについて
任意売却により、住宅ローンの残債務は500万円になりました。そして、保証協会や消費者金融などの借金を合わせると、総額で3,000万円が残ることになりました。
この借金をなくすべく破産手続きの準備を開始。今回、今井さんの破産手続きは、会社の倒産と今井さん個人破産の2件になります。この場合、会社については管財事件、個人について同時廃止事件になることが考えられます。しかし、会社の倒産手続きには裁判所へ予納金(60万円)を納付しなければなりません。そして、この予納金は法テラスを活用することができないため、今井さん自身が用意しなければなりません。
一般的に、こうした予納金は破産者自身がお金を貯めて用意するものなのですが、それでは解決までに時間がかかり過ぎます。ですので、今回、今井さんの任意売却では、引越し費用以外にもその予納金を捻出できるよう調整を図っていました。
結果、90万円(引越費用 + 破産手続費用)の捻出に成功したことで、任意売却完了後すぐに裁判所へ破産の申立てを行うことができるようになりました。
今井さんの現在
現在、破産管財人によって手続きが進められている最中です。予定では、1年後にはすべての手続きが終わることになっています。
生活状況はこれまでとは一転し、経済的にとても楽になり、お子さんたちにもお小遣いを渡すこともできるようになりました。そして、何よりもすべての借金から解放されたことで、心にも余裕ができ、仕事にも一層、専念できるようになったと仰っていました。
最後に
今井さんの経済状況に大きく影響を及ぼしたのは、保証協会の債務でした。個人保証していたことで債務が降りかかり、自宅まで差し押さえられてしまいました。そして、担当者から競売にすることをちらつかされ、収入とは見合わない毎月5万円という高額な返済を飲ませられることに。これにより消費者金融に手を出すことになってしまいました。
「自宅を守りたい」という気持ちが強すぎたがゆえに、客観的な判断を誤り、生活がどんどん苦しくなってしまいました。もっと早く相談に来てくださっていれば、借金も膨らまずに済んだと思いますし、もしかしたら個人再生で自宅を守れたかもしれません。
借金問題はできるだけ早く、専門家へ相談することがいかに重要であるか。その相談を受ける側ではありますが、その重要さを改めて考えさせられます。