収益不足で不動産投資ローン返済が滞り、競売申立て直前の投資用不動産。任意売却の成功で、自宅も競売にかけられてしまう危機の回避にも成功

この解決事例の要点

ご自身で入居者の募集や管理運営などを行なっていたものの行き詰まり、不動産投資ローンの返済が滞ってしまうことに。ついには一括弁済請求を受けてしまい、数日後には競売の申立てという状況でのご相談。自宅も競売にかけられ、保証会社は債権回収を図るであろうと予測される中、無事に任意売却に成功。最悪の危機を回避できました。

ご相談者について

ご相談者中田三郎さん(仮名) / 当時 56歳 / 男性
お住まい大阪府茨木市
物件一棟収益不動産
ご職業会社員
ご家族構成妻と息子家族(息子とその妻、孫)の5人暮らし
残債務1億4,500万円(収益ローン)
ローン債権者みずほ銀行(みずほ信用保証)

ご相談の時期

中田さんが当社へ相談に来られたのは保証会社の代位弁済手続きが完了し、債権者が裁判所へ競売申し立ての資料を提出する数日前でした。

ご相談内容

中田さんは茨木市内に収益となるアパートを所有しており、ご自身で入居者の募集や管理運営を行っていました。しかし、なかなかその運営がうまくいかず、銀行への返済が家賃収入ではまかなえない状態になってしまっていたのです。不足する返済分がどんどん膨らみ、ついに保証会社は代位弁済をし、中田さんに一括弁済を求めてきました。収支の合わない不動産を一刻も早く売却したいと中田さんは考えているものの、残債務1億4,500万円を上回る価格では売却することが出来ず、ただ時間と債務だけが膨らんでいく状況を生み出していました。また、中田さんにはもうひとつの心配事がありました。それは自宅の存在です。自宅も自分名義(所有)の不動産になっており、銀行は足らず債務が生じればその財産を処分しようと試みます。

アパートを失うことになんら抵抗はないものの、自宅までもが競売にされてしまっては家族に迷惑をかけてしまう。なんとか、自宅だけは守るかたちで、アパートを売却してくれないかという相談でした。

ご相談者の希望

  • 自宅だけは守りたい

解決のための行動と結果

収益不動産を所有される方の多くは、いつも自宅の存在が問題になります。故に自宅の名義を変えてしまおうと考える方がおられるのですが、既に債務不履行(滞納や代位弁済など)が生じた段階で、財産を隠匿すれば立派な犯罪行為(詐害行為)となり、所有権を移転したとしても強制的に元の所有者に戻されてしまいます。中田さんも同じような質問をされましたが、はっきりと出来ないことをお伝えさせていただきました。その上で、自宅を守るための解決方法を探しながら、アパートの任意売却を進めることになりました。まず、債権者はいったいいくらの金額でアパートの任意売却に応じてくれるのか、銀行との話し合いの結果、1億円以上の売却という条件が提示されました。そして活動から2ケ月後、1億2,000万円で購入したいとう投資家が現れ契約の運びとなりました。しかし、まだ3,000万円近く残債務があります。当然銀行はこの分について中田さんに請求を求めてくる訳ですが、この分については、銀行は自宅に3,000万円の根抵当権をつけ、毎月5万円づつ遅滞なく返済してくれれば、自宅の競売申立てはしないと条件を出してくれたのです。

結果、中田さんの希望通り、自宅を守るかたちでアパートを任意売却することができました。この成功の背景には、自宅の担保評価が3,000万円以上もあったということ、他に抵当権をつけている債権者が存在していなかったことにあります。銀行としても、居住用不動産を競売にかけることは最終手段として考えており、他に回収できる策があるならば極力そこから行い、その回収も難しいと判断されたときに初めて自宅を競売にするという順序をもっているのです。全ての金融機関がこのような順序で回収をはかってくれるとは限りませんが、今回のケースに限っては、中田さんの希望に添うかたちで解決することができました。

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この解決事例の著者

烏丸リアルマネジメント株式会社
代表取締役
矢田 倫基

宅地建物取引士
任意売却コンサルタント
NPO法人 住宅ローン問題支援ネット 理事

これまでに1,200件を超える住宅ローン返済・滞納問題を解決してきた、任意売却のエキスパート。数多くの住宅ローン困窮者を救ってきた面談は「心のカウンセリング」と呼ばれ、関西圏のみならず全国から相談者が後を絶たない。

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