離婚後、音信不通で連絡を取れない元夫が住宅ローン滞納。当社が見つけ出して同意を得た任意売却により、母子2人の住み続けに成功
この解決事例の要点
離婚する夫婦の間で「養育費の代わりに、住宅ローンを払い続ける」という口約束が交わされることが多いですが、大きな問題に発展してしまうことが多いです。その例に漏れず、突然自宅が競売にかけられてしまった...とのご相談。滞納してしまった音信不通の元ご主人を当社が見つけ出し、同意を得て任意売却を成功。ご依頼主の元奥さまはご自身で買い取りされ、娘さんと二人の平穏な生活を取り戻されました。
ご相談者について
ご相談者 | 藤川恵さん(仮名) / 当時 34歳 / 女性 |
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お住まい | 京都府京都市伏見区 |
物件 | マンション |
ご職業 | 公務員(高校教師) |
ご家族構成 | 子供と2人暮らし(シングルマザー) |
残債務 | 約2,700万円 |
ローン債権者 | 東京三菱UFJ銀行(エムユーフロンティア債権回収) |
ご相談の時期
藤川さんが相談に来られたのは、裁判所から「現況調査のお知らせ」が自宅に届いたときでした。その書面は、前触れなく、突然、送られてきました。
藤川さんはどういうことか、理解ができず、自ら裁判所へ電話をし、確認をしました。すると、昨年、離婚をした元夫が、住宅ローンを払っていなかったことが原因だと、そこで初めて知ったのです。
このままでは大変なことになってしまうと不安に思い、元夫に何度も電話をしました。しかし、無反応。また、どこに住んでいるかも分からないという状況でした。
ご相談内容
藤川さんは昨年、離婚をしたのですが、その際、元夫との間で、こんな約束をしました。
「夫は子供の養育費を支払わない代わりに、妻と子は、家賃なしで今の家(夫名義)にそのまま続けることができる」。
当時、自宅は住宅ローンがまだ残っていたこともあり、名義を変えることなく、債務者である夫が、その後も返済をし続ける形をとりました。
しかし、その約束は破られていたのです。
藤川さんは、元夫が今どこに住んでいるのか、また、どこに勤めているかも分からず、唯一、携帯の電話番号だけ知っていました。しかし、何度電話をかけても、でてくれませんでした。
拉致があかず、銀行に相談するも、自宅の権利関係には無かった藤川さんは、個人情報ということで、元夫の情報は一切教えてくれませんでした。
藤川さんには小学2年生の子供がおり、教育環境を変えることをしたくなく、今の自宅に住み続けることを強く望んでいました。
こういったケースにおける一般的な解決策として、任意売却によるリースバックがありますが、今回は、藤川さん自身が任意売却で自宅を買い取りたいという要望がありました。
いずれにしても、自宅の名義人である元夫の協力が不可欠であるため、まずは居所を突き止めなければなりません。
すでに競売が申立てされている状況、競売の開札が行われるまで残り約3ケ月、限られた時間の中で、検討がスタートしました。
ご相談者の希望
- 競売を回避して欲しい
- 今の自宅に住み続けたい
- 自分が任意売却で買い取りたい
- 夫の居所見つけ出して欲しい
- 元夫との約束を公正証書で定めたい
解決のための行動と結果
問題解決
藤川さんは、裁判所から送られてきた手紙(現況調査のお知らせ)を見て初めて、自宅が競売になっていることを知りました。通常、競売の申立てがされる場合、事前に銀行からその旨のことが手紙で知らされます。しかし、元夫は役所と銀行へ離婚に伴った住所変更手続きを行っていました。結果、銀行からの郵便物は全て、元夫の転居先に送られ、藤川さんは、住宅ローンが滞納されている事実など全く知らされることなく、競売にまで至ってしまったのです。
もし、住宅ローンの滞納の事実を途中で藤川さんが知っていれば、早い段階で対応がとれ、未然に防げていたかもしれません。しかし、今となっては、あとのまつり、任意売却でしか競売を取り下げるしか選択肢はありませんでした。
今回、藤川さんは、自らローンを組み、任意売却で今の自宅を購入したいという要望がありました。藤川さんは公立高校の教師・公務員でしたので、住宅ローンを組みやすい属性にあります。また、両親から頭金として1,000万円の援助を受けることができるということでした。自ら任意売却で自宅を購入することは全く不可能なことではありませんでした。
しかし、最大の壁、名義人である元夫の売却の同意を得ることが絶対条件になります。行方の分からない元夫をなんとして見つけ出さなければなりません。
元夫の携帯電話に何度電話しても全くの無反応。そこで、藤川さんの離婚時の戸籍を役所に請求し、元夫の住民票住所を調べ、その記載住所へ当社から手紙を送付しました。
送付から10日が過ぎたときでした、元夫から当社へ連絡がありました。売却に協力するという返事をくれました。
「電話がかかってきていることは知ってたのですが、、経済的に厳しく、何も協力はできないと思い、電話にはでれませんでした。でも、同意するだけでいいのなら、協力させて欲しい」と申し訳なさそうに言ってくれました。
すぐに債権者へ任意売却する旨を伝えたところ、1,700万円で任意売却に応じてくれることになりました。
藤川さんはご両親から1,000万円を頭金にして、残り700万円を銀行から融資をうけ、無事、任意売却を完了させることができました。
ご相談者の現在
現在、藤川さんは、毎月5万円の住宅ローンを支払いこれまで通り、住み続けています。自分の名義になったことで、これまで通り、安心して住み続けることができています。
一方、元ご主人さんは、任意売却後に残った住宅ローンを支払っています。毎月の支払いは1万円、保証会社との話し合い返済計画が見直されました。
それと、藤川さんと元ご主人さんとの間で、公正証書でお子さんへの養育費についても取り決めをするこもしました。
最後に
今回の成功のポイントは、元夫の協力が得られたことです。もし、元夫の居所を掴めず、売却同意が得られなければ、いくらお金の用意ができても、任意売却を行うことができません。もちろん、競売も取り下げることもできません。
離婚の際、「住宅ローンは元夫が支払い、妻子がそのまま自宅に住み続ける」という取決めをすることが非常に多くあります。実はこのケース、今回の事例にように、音信不通により、トラブルになってしまうことがあるのです。
ですので、離婚の際は、このようなリスクを最小限に抑えるための対策をとっておく必要があるということを知っておいてください。