病気で収入ゼロ、生活保護受給も自宅の売却も断られてしまい、住宅ローンを滞納。万事休す...から、任意売却・債務整理で残債務ゼロ・引っ越し費用の捻出・生活保護受給とすべてのご要望を叶えることに成功

この解決事例の要点

脳梗塞で倒れてしまい、収入ゼロに。わずかな額の障害者年金と貯蓄の切り崩しのみでは住宅ローンの返済が厳しい上、生活保護受給も自宅の売却も断られてしまい、とうとう住宅ローンを滞納。万事休す...の状況でインターネット検索で見つけた当社へご相談いただき、任意売却・債務整理で残債務ゼロ・引っ越し費用の捻出・生活保護受給とすべてのご要望を叶えることに成功。

ご相談者について

ご相談者岡田一郎さん(仮名) / 当時 65歳 / 男性
お住まい奈良県奈良市
物件一戸建て
ご職業無職
ご家族構成独身
残債務1,700万円(住宅ローン)
ローン債権者三菱UFJ銀行(エムユーフロンティア債権回収)

ご相談の時期

岡田さんは、2回続けて住宅ローンを滞納してしまった時期に、当社へ相談にいらっしゃいました。

銀行から「これ以上滞納すると競売になってしまいます」と言われたものの、支払いの目途はまったく立たず、「自分だけではどうすることもできない」と判断されてのご相談でした。

経緯とご相談内容

岡田さんが住宅ローンの返済ができなくなってしまった理由は、「病気による収入減少」です。2年前に脳梗塞で倒れ、体を思うように動かせなくなってしまったのです。

それまでは、建設関連の個人事業を営んでおられたのですが、病気のために仕事ができなくなり、収入はなくなり、僅かながらの障害者年金と貯蓄の切り崩しでなんとか生活を続けていました。しかし、貯蓄は底を突き、ついには住宅ローンの返済ができなくなってしまったのです。

そこで、覚悟を決めた岡田さんは、役所へ生活保護受給の相談に行きました。ところが、「住宅ローンの返済がある状態では受給資格を得ることができない」と、やはり断られました。そのため、岡田さんは自宅の売却を決意し、近所の不動産会社へ相談に行きました。しかし、「住宅ローンがまだたくさん残っているオーバーローン状態では、売却はできない」と、そこでも断られてしまったのです。

そうこうしているうちに、とうとう2回目の滞納を迎えてしまいました。銀行の担当者から、「次、滞納をしてしまうと、競売になってしまいます」と告げられ、返済のアテがまったくなかった岡田さんは、インターネット検索で相談先をお探しになり、当社を見つけられたそうです。

岡田さんのご相談は、「生活保護を受給できるよう自宅を売却して欲しいという」というものでした。また、預金もほとんどなくなってしまい、引っ越し費用なども捻出して欲しいというご要望でした。

ご相談者の希望

  • 任意売却したい
  • 引っ越しするための費用を確保して欲しい

解決のための行動と結果

問題解決

岡田さんが当社へ相談に来られたのは、2回目の住宅ローンを滞納したときでした。今回、自宅はオーバーローン状態だったため、任意売却を検討するということで方針決定したわけですが、滞納2回目の段階ではまだ任意売却をすることはできません。任意売却するには、銀行に債務者である岡田さんに対して返済が不可能であると認識してもらわなければなりません。

今回、債権者は三菱UFJ銀行ですが、この金融機関の場合は、滞納が3回を超え、保証会社による代位弁済手続きが行われて初めて、銀行は岡田さんを返済不可能であると認識します。
ですので、岡田さんには住宅ローンの引き落としがされないよう銀行口座の残高をゼロにしてもらいました。

そして、生活保護受給について、再度、役所へ相談に行ってもらいました。というのも、住宅ローンがあっても、任意売却するという前提であれば、生活保護を受給することができるからです。結果、直ぐ受給が認められ、生活の為のお金を確保することができるようになりました。

相談に来られてから2ケ月後、住宅ローンは、ようやく、代位弁済手続きが行われ、債権は保証会社であるエムユーフロンティア債権回収に移行されました。これで具体的に任意売却活動をスタートできます。

まずは、販売価格を決定するために債権者との協議が必要になります。販売価格はこちら側で勝手に決めることはできません。なぜなら、販売(売却)価格は債権者の回収金額に繋がるため、債権者の意向を反映させなければならばいからです。そして、協議の結果、岡田さんの自宅は1,500万円で販売することが決定しました。

販売活動から1ケ月後、購入希望者が現れ、無事任意売却は成功させることができました。
また、岡田さんの要望にあった引越費用ですが、生活保護費からその費用が負担され、そして家賃についても、4.5万円の補助があり、岡田さんは全くお金を用意することなく次の生活をスタートさせることができました。

次に、今回の任意売却後に残った住宅ローン約300万円についての処理ですが、これは債務整理を行うことで、全ての借金をなくしました。
生活保護費を受給しながら借金を返済することは法律上認めれていないので、債務整理は必ず行わなければなりません。そのため、債務整理をする際の費用についても、生活保護費から捻出されました。今回の任意売却そして引越、債務整理と、岡田さんには一切のお金を用意することなく、解決することができました。

ご相談者の現在

自宅を失ったものの、住宅ローンなどの借金も全てなくなり、今は生活保護を受けながら生計をたてておられます。体が不自由になったことで収入が減り、当初は生活保護も受けられない事態となり、このまま一人死んでしまうのではないかと思ったそうです。しかし、今は普通に生活ができるようになり、相談して良かったとおっしゃられていました。

最後に

病気により住宅ローンの返済ができなくなってしまったというご相談は本当に多くあります。住宅ローンを組む際、自分が死んでしまった場合や病気になってしまったときに備え、団体信用生命保険に加入しますが、実は、病気の種類や介護の程度によっては適応されないことが多々あります。岡田さんも脳梗塞になってしまいましたが、適応条件にあてはまらず、団体信用生命保険を受け取ることができませんでした。今後ますます高齢化社会が進んでいく中、こういった病気によるローン破綻が増えていくことでしょう。もっとサービスの行き届いた保険商品になってもらいたいものです。

そして、次に生活保護受給についてです。岡田さんは、最初お一人で生活保護の相談で役所いきました。しかし、住宅ローンがあるから生活保護を受けることが出来ないというだけの説明で、窓口で申請を断られました。しかし、役所担当者が詳しく事情を聞き、踏み込んだ説明をしていれば、岡田さんはもっと早く生活保護を受給できていたでしょう。

これは、役所のケースワーカーの仕事量や人材不足が関係しています。また、役所によっては、未だに生活保護の受け入れを拒み、窓口で申請を断るケースもあります。助けなければならない人達をいち早く察知し、素早い援助ができる役所組織になってくれることを強く望みます。

任意売却からすま相談室へ相談する

この解決事例の著者

烏丸リアルマネジメント株式会社
代表取締役
矢田 倫基

宅地建物取引士
任意売却コンサルタント
NPO法人 住宅ローン問題支援ネット 理事

これまでに1,200件を超える住宅ローン返済・滞納問題を解決してきた、任意売却のエキスパート。数多くの住宅ローン困窮者を救ってきた面談は「心のカウンセリング」と呼ばれ、関西圏のみならず全国から相談者が後を絶たない。

詳しいプロフィール

解決事例の一覧へもどる