私立校へ通う子どもの教育費が毎月17万円、不足を工面するための借金総額600万円。住宅ローン返済困難になるも個人再生で自宅を守り、借金問題も解決に成功

この解決事例の要点

私立校へ通う子供の教育費は毎月17万円。不足を工面するための借金総額が600万円にもなり、家計は破綻。「住宅ローンの返済も難しいけれども、家にはできることなら住み続けたい...」とのご希望で、借金問題を解決し、預金ができる生活環境を取り戻すために個人再生を申し立て。1年後に再生認可決定され、無事に生活再建への道を歩み始められることに。

ご相談者について

ご相談者野口秀之さん(仮名) / 当時 49歳 / 男性
お住まい京都府京都市南区
物件一戸建て
ご職業会社員
ご家族構成妻と子(13歳)の3人暮らし
残債務1,500万円(住宅ローン)
ローン債権者住宅金融支援機構

ご相談の時期

クレジットや消費者金融からお金を借りていた野口さんは、少しずつ借金が増えていっている状態にありました。いずれ返せなくなると判断し、当社へ相談に来られました。

経緯とご相談内容

野口さんご夫婦は、住宅ローン以外にクレジットや消費者金融など複数の借入があり、その額は約600万円。こうなってしまった主な原因は、お子さんの教育に関する出費にありました。現在、中学1年生になる息子さんを小学校から私立へ通わせ、学習塾はもちろん、英会話などたくさんの習いごとをさせていたのです。結果、教育費のみで毎月17万円もの出費があったのです。

とは言え、野口さんは一般的なサラリーマンで、給料は手取り35万円。奥さんのパート収入を合わせて、世帯収入は45万円ほど。3人家族の生活であれば、住宅ローンを含めても問題ない収入状況と言えるでしょう。しかし、お子さんにかける教育費が収入と見合うものではなく、その結果として、4〜5年の間に600万円にまで借金が膨れ上がってしましました。

当然、預金などまったくできていない状況です。2年後に控えた息子さんの高校進学の際には、またまとまったお金が必要になります。預金ができていない現状、このままでは高校進学を諦めなければなりません。それどころか、借金が少しずつ膨れ上がっているため、いずれ破綻してしまうのでは...と危機感を抱いておられました。

野口さんは、借金問題を解決し、預金をできる生活環境に戻したいと考えてらっしゃいました。そして、ご自分なりにいろいろとお調べになり、任意売却によるリースバックという方法と個人再生という法的手続きがあることをご存知になりました。しかし、この二つをまとめて相談・依頼できる会社がなかなかなく、唯一、当社が行っていることをご存知になって、ご相談にいらっしゃいました。

ご相談者の希望

野口さんの要望は、借金問題を解決し、預金ができる生活環境に戻して欲しいということです。また、自宅はできることなら、手放したくない、住み続けたいとお考えでした。

  • 自宅に住み続けたい
  • 借金問題を解決したい

解決のための行動と結果

問題解決

野口さんが抱える問題の解決方法には、リースバックと個人再生以外に、任意整理という方法もありました。任意整理とは、債権者との和解による解決方法です。住宅ローン以外の借金600万円の将来利息をカットしてもらい、それを3〜5年で完済させる返済計画を立てます。5年計画で考えると毎月10万円の返済で済みます。

それに対して、法的手段による個人再生は、住宅ローン以外の借金600万円を5分の1に圧縮させることができます。それを3年で完済する計画、120万円÷36ヶ月=毎月33,000円の返済で済むことになります。任意整理よりも大幅な改善が見込めます。

一方、任意売却によるリースバックですが、野口さんの自宅の資産価値と債権者の特徴から見て、恐らく家賃は10万円程度になると考えられました。そして、任意売却後に残った借金(住宅ローンを含む全ての借金)を自己破産で処理した場合、全ての借金がなくなるため、経済的効果として、3つの解決方法の中で任意売却によるリースバックが一番大きな改善が見込めることになります。しかし、リースバックは自宅を手放さなければならないということ、100%リースバックに成功する保証がないというデメリットがついてきます。また、自己破産というネガティブな印象、こういったことから、野口さんは個人再生で検討を進めることになりました。

個人再生の申し立ては裁判所に行います。申立てしてから終了まで半年から1年はかかる長期の手続きになります。また、裁判所へ提出する資料も煩雑で、野口さんが本当に再生できるかどうかを裁判官は慎重に判断します。
結果、申立てから1年、裁判所から再生認可決定がおり、無事、個人再生の手続きが全て終了しました。

ご相談者の現在

現在、野口さんは住宅ローンの返済7万円、あの600万円の借金については毎月33,000円を支払い、再生のための生活を送られています。

しかしながら、お子さんへの教育費として毎月17万円の出費ですが、これが借金を膨らませた大きな要因です。この出費については裁判官からも指摘を受け、最小限の出費にすることが認可決定許可の条件になっていました。そして、英会話を辞めさせ、塾も月謝の安いところに変えたそうです。子供には気の毒なことをしたと言っていましたが、最悪の状況を考えれば、これも致し方ないと言っておっしゃってました。

最後に

実は教育資金が資金で破綻すると言う方は決して珍しくはありません。ナゼ、こんなことになってしまうのかと思われるでしょうが、一度習わせた塾や習い事を親から辞めてくれないかとはなかなか言えないものです。また、子供も親のことを見ているもので、自分の為に頑張ってくれているのなら、頑張って続けなければならないと思う子供もいます。

そんな頑張っている子供の姿を見れば、習い事を辞めさせることはできないのかもしれません。そういった感情の連鎖が、借金を膨らませてしまう現実もあるのです。

今回、個人再生というかたちで解決を図りましたが、これは誰でもできる手段ではないことも知っておいてください。個人再生は自己破産のように借金が全てなくなるものではありません。借金が5分の1(又は10分の1)に圧縮(最低100万円)され、それを3~5年で完済できるよう返済しなければなりません。また自宅を残したい場合、住宅ローンは圧縮されることなく、これまで通りの返済を続けていくことになります。

ですので、借金を返済、完済できるだけの収入がなくてならないというのが個人再生の絶対条件になります。

また、住宅ローン以外には借金がなく、単に収入減少で住宅ローンが支払えなくなったという理由では、個人再生の検討は難しいと言えます。個人再生の手続きをする際、裁判所に再生計画というもの書面で提出します。現在の収支と将来の収支を見せ、生活再建できる根拠をしっかりと書面で説明しなければなりません。また5,000万円以上の借金があってはないない、税金滞納していてはならない、住宅ローン以外の借金が抵当権設定されていてはいけないなど、細かな条件も付いてきます。

しかしながら、自宅に住み続けたい、守りたいと思っている方は、任意売却によるリースバックの検討も去ることながら、この個人再生の検討もすることをおススメします。

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この解決事例の著者

烏丸リアルマネジメント株式会社
代表取締役
矢田 倫基

宅地建物取引士
任意売却コンサルタント
NPO法人 住宅ローン問題支援ネット 理事

これまでに1,200件を超える住宅ローン返済・滞納問題を解決してきた、任意売却のエキスパート。数多くの住宅ローン困窮者を救ってきた面談は「心のカウンセリング」と呼ばれ、関西圏のみならず全国から相談者が後を絶たない。

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