5年間空室、持ち出しで不動産投資ローン毎月4.5万円を返済せざるをえない状況の収益物件、中古マンション。任意売却で重荷・不安からの解放に成功

この解決事例の要点

1,800万円で購入した不動産投資用の収益物件、中古マンション。購入後15年も経つと家賃を下げても入居者が現れず、直近5年空室になり、持ち出しで不動産投資ローン毎月4.5万円を返済せざるをえない状況に。これ以上の負担は厳しくインターネット検索された結果、「任意売却」という解決策をご存知になり、当社へご相談。6ヶ月かけて住宅ローン滞納の既成事実を作り出し、無事に任意売却。重荷・不安からの解放に成功しました。

ご相談者について

ご相談者中島慎太郎さん(仮名) / 当時 56歳 / 男性
お住まい大阪府大阪市西淀川区
物件収益不動産
ご職業自営業
ご家族構成妻と子(大学3年女・高校2年女)の4人家族
残債務1,000万円
ローン債権者オリックス銀行(オリックスサービサー)

ご相談の時期

不動産投資で収益物件としてマンションを所有していた中島さん。ですが、この3年間は家賃収入がゼロで、持ち出しで何とか不動産投資ローンを返済している状況ということで、当社へご相談にいらっしゃいました。

ご相談内容

25年ほど前、中島さんは友人のすすめで不動産投資用の中古マンションを1,800万円で購入しました。購入後、スグに借り手は現れ、毎月2万円程のプラス収入があったそうです。

しかし、入居者が入れ替わるたびにリフォームや設備の交換などを要し、トータルで見るとさほど儲かる投資ではありませんでした。それでも将来、不動産投資ローンの返済が終われば老後の生活の足しになると思い、これまで売却処分することなく返済を続けてきました。

しかし、購入から10年経った頃から次第に入居者が見つかりにくくなってきました。そのため、家賃を下げざるを得なくなり、儲かる投資ではなくなってきたのです。

購入から15年後には、収支状況はさらに悪化。深刻さが増し、家賃を下げても入居者が現れず、何と今に至る5年もの間、部屋は空室ままとなってしまったのです。

実は、そのマンションの近くにあった工場などが次々に閉鎖され、賃貸需要のない地域へと変わってしまっていたのです。また、セキュリティー面などでも付近の他のマンションと比較すると劣っており、それが輪をかけて入居者が集まらない原因にもなっていたようです。

空室の間、中島さんは銀行へ毎月4.5万円を持ち出していました。そして不動産投資ローンの完済までまだ十数年残ってたため、この4.5万円の負担はとても大きな負担に感じようになってきたのです。

そこで売却をしようと不動産会社へ相談したころ、売却できても600万円程の価値にしかならない、オーバーローン状態であることを知りました。不動産会社からは、このまま頑張って支払いを続けるか、支払いを止めて競売にしてしまうかの選択肢しかないと言われました。

「不動産投資の失敗、競売になるくらいなら、頑張って支払わなければならない」と覚悟を一度は決められたものの、やはり毎月4.5万円の負担は大き過ぎます。そこで、ホームページなどでいろいろと調べているうちに、「任意売却」という手段があることをご存知になり、当社へご相談いただきました。

ご相談者の希望

  • 不動産投資ローンの毎月の返済から解放されたい
  • 収益物件を手放したい
  • 収益物件売却後の借金を減らしたい
  • 自己破産はしたくない

解決のための行動と結果

中島さんの要望は毎月4万円の返済から解放されたいというものでした。しかし、現在の収入状況を伺ったところ、決して4万円の捻出が不可能であるとまでは言えない経済状況でした。

収入 支出
30万円 食費 7万円
10万円 水道・光熱費 4万円
    通信費 3.5万円
    車両費 2.5万円
    保険料 3.5万円
    教育費 3.5万円
    夫小遣い 3万円
    子小遣い 2万円
    雑費 5万円
    医療費 0.5万円
    預金 1万円
    ローン返済(オリックス) 4.5万円
合計 40万円 合計 40万円

しかし、お子さんのこれからの学費やご自身の老後預金などほとんどできていない状況です。毎月4.5万円の負担がなければいくらか預金に回せます。今はなんとか不動産投資ローンを返済できても、将来の生活が脅かされる経済状況にあると思えば、任意売却はできます。

ただ、このケース、中島さんには任意売却のデメリットについてしっかりお伝えしておく必要があります。

というのも、一般的に任意売却は競売と比較がされることが多く、その比較においてデメリットはほぼありません。しかし、通常の不動産売却との比較においては、やはり任意売却には多くのデメリットがあるのです。

【通常の不動産売却と比較しての任意売却のデメリット】

  • ❶ 任意売却に失敗すれば競売になってしまう
  • ❷ 競売になれば名前や住所が公開される
  • ❸ 個人信用情報に事故履歴として記載される(ブラックリスト)
  • ❹ 任意売却後の残債務について返済は続く(リスケジュールはされる)
  • ❺ 他に財産を所有していればそれが差押えられるリスクがある

以上の内容をお伝えしました。

この中で中島さんの一番の気がかりは❶でした。任意売却を選択すればもう後戻りはできません。任意売却は返済ができない方を対象とした売却手段であるため、任意売却に失敗すれば債権者は競売手続きに必ず踏み切ります。

ただ、任意売却の成功率と競売の申立てまでの残り時間とには強い相関関係があり、中島さんのようにまだ競売の申立てがされていない状況での成功率は90%以上になります。任意売却の対象となるマンションは、賃貸需要の少ない地域であるというものの、時間さえあればなんとかなるものです。最終的に、中島さんはその成功率に賭け、任意売却することを決断されました。

当社へご依頼後、早速、オリックスサービサーへ任意売却する旨を連絡しました。これまで一度も滞納がなかったため、担当者は任意売却に難色を示していましたが、6ケ月の滞納という規制事実を作ると最終的に任意売却を認めてくれました。

次は、販売価格の設定です。これについては債権者も賃貸重要の少ない地域であることに理解を示し、600万円で売り出すことになりました。販売活動開始から3ヶ月後、600万円で購入したいという方が現れました。スグに契約。そして決済を行い、無事に任意売却を完了させることができました。

任意売却後の、中島さんの残債務は約500万円。これについては、毎月5,000円ずつ返済していくことに決まりました。

現在、中島さんはその返済を続けておられますが、借金としてはまだ残っている状態です。いずれ和解(詳しくはこちら)というかたちで決着する日が来るハズですが、それまで中島さんにはそれなりのリスクもあります。すべてが解決されたわけではありませんが、これまで抱えておられた不安と比べれば、気持ち的には随分とラクになったのではないでしょうか。

当社へ任意売却のご相談に来られる方の多くは、既に滞納が始まっている方がほとんどです。そこに至るまで食べる物、着る物、病院に行くお金すら節約し、家族にも大きな影響を及ぼしています。

しかし、中島さんのように今はまだ返済する余力はあっても、近い将来破綻するかもしれないという状況で相談に来られれば、最小限の傷口で済ませること可能になります。

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この解決事例の著者

烏丸リアルマネジメント株式会社
代表取締役
矢田 倫基

宅地建物取引士
任意売却コンサルタント
NPO法人 住宅ローン問題支援ネット 理事

これまでに1,200件を超える住宅ローン返済・滞納問題を解決してきた、任意売却のエキスパート。数多くの住宅ローン困窮者を救ってきた面談は「心のカウンセリング」と呼ばれ、関西圏のみならず全国から相談者が後を絶たない。

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