「期限の利益の喪失」とはどういうことですか? 喪失するとどうなるのですか?

「3,000万円を35年(420回)払いで銀行に返済する」という決め事が、住宅ローンを滞納することで、なくなってしまうことを「期限の利益喪失(そうしつ)」と言います。
もし、これが実行されてしまうと、住宅ローン残金全てを一括して支払えと銀行(保証会社)から要求され、手立てがうてないままでいると法的手続き(競売)が開始されてしまいます。この言葉を書面で目にしたら、私達のような専門家に相談することをおすすめします。

「期限の利益の喪失」とは、毎月分割して返済することができなくなってしまうこと

「期限の利益の喪失」とは、毎月分割して返済することができなくなってしまうことです。

一戸建てやマンションなどの購入の際、多くの方が住宅ローンを組みます。例えば、3,000万円でマイホームを購入される場合でしたら、「3,000万円(+ 金融機関の金利分)を毎月1回、合計360回(30年)で返済する」という金銭消費貸借契約を金融機関と結びます。

これは、金融機関にとって利益となる金利分の支払いと引換えに、「30年間かけて、分割で返済してもらって良いですよ」と返済にかける時間、期限の猶予を利益としてもらう契約を意味します。

しかし、住宅ローンを滞納するとその契約自体が解除されてしまい、「時間をかけて返済してもらって良いですよ」という利益、権利を取り上げられてしまいます。
これを「期限の利益の喪失」と呼びます。

期限の利益を喪失してしまうと住宅ローンの分割返済が認められなくなり、残債務を一括で返済しなければなりません。これは、債務者にとっては大変深刻な事態です。

ですので、銀行などの金融機関は「そうなってしまわないよう、滞納分を返済して回避してください」と連絡するのです。それが、上に実際の書面を示すような「期限の利益喪失手続きの開始の予告」という書面です。

一般的な金融機関ですと滞納が3回を越えたとき、住宅金融支援機構ですと滞納が6回を超えたときに予告書が届きます。

期限の利益を喪失してしまった後に起こること

代位弁済される

銀行から送付されてくる書面の文中で、「期限の利益喪失」と併せて良く目にするのが「代位弁済」という言葉(用語)です。

「代位弁済」とは、債務者に代わって保証会社が住宅ローン残金すべてを銀行に支払う行為です。期限の利益が喪失されると、代位弁済は必ず行われます。期限の利益が喪失する日 = 代位弁済日となります。

(参考)
住宅ローンを滞納して代位弁済予告書が届きました。どうすれば良いですか?

全額一括弁済請求される

銀行など一般的な金融機関では、代位弁済により銀行から保証会社に窓口が変わり、そちらから一括弁済請求を受けることになります。

一方、住宅金融支援機構で住宅ローンを借りた方に限っては、他の銀行とは異なり保証会社は存在しません。ですので、期限の利益を喪失すると「全額繰上償還請求」、すなわち全額一括弁済請求を受けることになります。

期限の利益の喪失への対処方法

貯えがあり、まとまった現金を用意でき、住宅ローンの滞納分を返済できるのでしたら、代位弁済日までに支払えばひとまずの問題は解決され、代位弁済は回避できます

しかし、そうしたことができない方、また、ひとまずは回避できたとしてもその後の返済見込みが立たない方は、まず銀行へ行って住宅ローン返済計画の見直しができるかを相談してみましょう。

一方、返済計画の見直しではなく自宅を売却し借金から解放されたいですとか、既に期限の利益が喪失してしまっている方は、銀行ではなく任意売却や債務整理を取り扱う私どものような専門家に相談されることをオススメします

任意売却からすま相談室へ相談する

この回答の著者

烏丸リアルマネジメント株式会社
代表取締役
矢田 倫基

宅地建物取引士
任意売却コンサルタント
NPO法人 住宅ローン問題支援ネット 理事

これまでに1,200件を超える住宅ローン返済・滞納問題を解決してきた、任意売却のエキスパート。数多くの住宅ローン困窮者を救ってきた面談は「心のカウンセリング」と呼ばれ、関西圏のみならず全国から相談者が後を絶たない。

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