離婚した元夫名義の家に元妻の私と子どもが住んでいます。家を売却したいのですが、元夫の居所がわからず連絡も取れません。どうすれば良いでしょうか?
名義人と連絡が取れない場合、
①「離婚時の戸籍をたどって元夫を見つけ出し、売却に協力してもらう」
②「不在者財産管理人を設置し、裁判所の許可を得て売却する」
③「失踪宣告をし、相続権利者の同意をとって売却する」
のいずれかの方法で売却することになります。
不動産を売却するには、その不動産の名義人(所有者)の同意が必要です。そして、もう一つ忘れてはならないのが、債務者の協力です。
このご相談の例では、お住まいの不動産の名義とともに、住宅ローンの債務者も元夫の方であると思われますので、元夫の方の協力が不可欠であろうと考えられます。
しかし、「家を売却したい」と考えても、離婚後、元夫の行方がわからず音信不通ともなれば、通常の方法では売却できません。
このような場合、以下の3つの方法のいずれかで売却します。
1. 離婚時の戸籍をたどって元夫を見つけ出し、売却に協力してもらう
役所へ戸籍を請求すれば、住民票がどこへ移動したかを調べられます。住民票に記載されている住所と実際に住んでいるところが違う場合もありますが、多くの場合、この戸籍調査によって居どころを見つけ出せます。
現実的には、戸籍調査までせずとも、元夫の両親や兄弟、親戚などに尋ねれば、大概見つけ出ることができます。
2. 不在者財産管理人を設置し、裁判所の許可を得て売却する
不在者とは「従来の住所、または、居所を去った者で、容易に戻る見込みがない者」をいい、一般的には「行方不明者」を指します。
この場合、家庭裁判所へ「不在者財産管理人の申立て」を行えば、売却が可能になります。ただし、この申立てをする者が利害関係者でなければなりません。例えば、住んでいる自宅不動産に関して元妻が名義人でもなく、債務を保証している立場でもなければ、申立ては困難です。
共有持分がある、あるいは、連帯保証人、または、連帯債務者となっているなどであれば利害関係者として認められるため、申立てが可能です。
3. 失踪宣告をし、相続権利者の同意をとって売却する
不在者の行方不明の状態が7年以上続いている場合、利害関係人が家庭裁判所へ申立てをして認めらると、失踪の宣告がなされ、その不在者は死亡とみなされます。
失踪宣告確定後、不在者の財産である自宅不動産は、通常の遺産分割手続きにより相続権利者に相続され、それを引き継いだ者の同意を得て、不動産の売却が可能になります。