会社のために自宅を担保に差し出した10年後...社長が事業融資の返済を滞納。自宅が競売にかけられるも任意売却に成功し、入札4日前に競売取り下げにも成功
この解決事例の要点
社長の「次の代表は君だから...」の言葉を信じ、会社が1,500万円の事業融資を受けるために自宅を担保に差し出した10年後...事態は一転、保証会社から突然、全額返済を求められることに。社長が事業融資の返済を滞納していたことが発覚。競売の入札1ヶ月前に任意売却を開始し、入札4日前に取り下げ成功。住み慣れた家を残念な形で手放すことになりましたが、最悪の事態は回避でき、前向きに頑張ってらっしゃいます。
ご相談者について
ご相談者 | 亀田重雄さん(仮名) / 当時 68歳 / 男性 |
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お住まい | 京都府京都市上京区 |
物件 | 一戸建て |
ご職業 | 建築設計事務所の役員 |
ご家族構成 | 妻と2人暮らし |
残債務 | 1,900万円(住宅ローンと物上保証債務) |
ローン債権者 | 一般社団法人医療経済研究所・社会保険福祉協会 |
ご相談の時期
亀田さんが当社へ相談に来られたのは競売の申し立てがされてから3ケ月が経過し、裁判所から入札の開始を知らせる手紙「入札のお知らせ」が届いた頃でした。入札まで残り1ケ月、任意売却するには極めて時間がない状況で相談に来られました。
ご相談内容
亀田さんは京都市上京区で建築設計事務所の役員として働いていました。
今から10年程前に社長の頼みで1,500万円の事業融資を受ける為に亀田さんの自宅を担保として差し出した経緯がありました。当時、亀田さんは自宅を担保提供することにとても不安に感じていましたが、社長の「次の代表は君だから・・・」と言ってくれたので、それを信じお願いに応じることにしたのです。
しかし、数年たった頃、なぜか社長が会社に顔を出すことなくなってきたのです。異変を感じながらも、亀田さんは「次の社長は君だから・・・」というあの時の言葉を信じ、これまで通り仕事に注力し頑張っていました。
しかし、突然、事態が訪れたのです。融資を受けていた保証協会から「借金を全額返済しなさい」という主旨の手紙が亀田さんの自宅に送られてきたのです。なんのことかさっぱりわからなかった亀田さんは保証協会に連絡すると、滞納していた事実が分ったのです。急いで社長に連絡すると、「悪かった・・・」とひたすら謝るばかりで、全く拉致があきませんでした。
そしてついに全額返済しなかればならないの期限が訪れてしまい、ついには自宅が競売にかけられてしまったのです。亀田さんは何度も保証協会に足を運び、競売を取下げてくれないかと頭をさげました。しかし、それは認められず、結局、時間だけが経過することとなり、入札まで残り1ケ月という今の状況に至ってしまったのです。
住宅ローンの借金は残り100万円程で後少しでその借金も終わるところでした。
自らの借金でなかったため、家族への説明もつかず、妻や子供達からも責められるばかりで、精神的にもかなり憔悴しきっていました。
なんとか今の自宅に住み続けることができないか・・・?そして、借金が家族に影響を及ぼすことがないか・・・?など、この先どうなるのかを教えて欲しいという相談でした。
ご相談者の希望
- 今の自宅に住み続けたい
解決のための行動と結果
亀田さんの希望は今の自宅に住み続けたいというものでした。
しかし、入札まで残り1ケ月という状況の中でその希望に向けて検討することはとてもリスクが高ったのです。なぜなら、もしそれに失敗してしまえば結局競売になってしまい、手元には少しのお金しか残らない可能性が非常に高かったからです。
今回のケースでは、住み続けることの検討をするよりも、少しでも手元にお金が残るかたち、すなわち引っ越しする方向での検討を進めた方が、競売を回避できる確率が高かったのです。
そのことを説明した結果、亀田さんは住み続けることを諦め、少しでも多くのお金を手元に残す形で任意売却することを選択しました。
そして検討から1週間後、購入者が現れました。売却価格は2800万円。債権者に支払うお金、諸費用などを差し引くと、亀田さんの手元に残るお金は約800万円。思った以上に高く売れたことに正直、私も亀田さんも驚きました。
そして、活動から3週間後、入札が行われる4日前に競売を無事取り下げることができました。
現在、亀田さんは娘さんの住む家の近くに賃貸マンションを借りて夫婦二人で生活をされています。長年住み慣れた家をこんなかたちで出ることになってしまったのはとても残念な思いだったでしょう。
しかし、自宅を担保提供してしまったのは事実、それを覆すことなどできません。亀田さんも当時の安易な判断に反省しつつ、今は新たな生活に向けて必死に前を向こうと頑張っておられます。
今回、極めて時間がない中での任意売却活動でしたが、もっと早い段階で相談に来ていれば、住み続けるという形で解決できた可能性もあったでしょう。任意売却は時間との勝負といっても過言ではありません。一日でも早く、専門家に相談することがいかに重要であるかを気付かせる事例でした。