離婚、連帯債務者の元妻へ迷惑がかからぬように...と住宅ローン返済を続ける元夫。子供の養育費へ影響が出てしまう前に、任意売却して離婚問題を無事に決着

この解決事例の要点

経営する建設会社で多額の負債。長年、借金に悩まされての離婚後も、連帯債務者の元妻へ迷惑がかからぬように...と、住宅ローン返済を続ける元夫。しかし、「このままでは子供たちの養育費へも影響が...任意売却で処分し、早く負担を減らしたい」とのご相談。連帯債務者であるがゆえに反対していた元妻にも、説得でなんとか理解を示してもらえて任意売却を実現。離婚問題を無事に決着させられました。

ご相談者について

ご相談者齋藤信義さん(仮名) / 当時 42歳 / 男性
お住まい京都府京都市左京区
物件一戸建て
ご職業自営業(建設業)
ご家族構成妻と子供1人の3人暮らし
残債務約2,800万円
ローン債権者京都銀行(京都信用保証サービス)

ご相談の時期

齋藤さん夫妻が当社へ相談に来られたのは、家庭裁判所での2回目の離婚調停が終わった頃。離婚により、一緒に住む必要がなくなる自宅の処分方法を裁判所の調停員に相談したところ、任意売却を勧められたとのことでした。

ご相談内容

斎藤さん夫妻は、ご主人が経営する建設業の会社で多額の負債を抱え、長年、借金問題に悩まされていました。それが原因で夫婦喧嘩が増え、関係は悪化、冷え切った関係が子供へ及ぼす影響が心配になり、離婚を決意されたそうです。しかし、子供の親権問題で争いとなり、家庭裁判所の調停で話し合いにまで発展。ご相談にいらした当時、調停での話し合いは2回目を終えたところで、解決までもうしばらく時間がかかるという状況でした。

そのような状況の中、もう一つ問題がありました。それは自宅の存在です。15年前に購入した自宅は、まだ住宅ローンがたくさん残っており、売却したくても残債務以上の金額では売れない、いわゆるオーバーローン状態にありました。自宅は既に空家になっているにも関わらず、ただただ住宅ローンの支払いのみは続けられ、ご主人が負担されていました。と言うのも、その住宅ローンの連帯債務者には奥さまが名を連ねていため、奥さんからは「住宅ローンだけはキチンと支払うように」と言われていたからです。

しかし、今後の生活を考えれば、住宅ローンの負担の影響はご主人だけに留まらず、お子さんの養育費へも影響を及ぶであろうことは容易に想像がつきました。ご主人の経済状況を知っている裁判所の調停員も、自宅を早い段階で売却し、少しでもお子さんの養育費に充てるお金を確保するよう、任意売却を促していたのです。

これまで、連帯債務者であるがゆえに任意売却には反対していた奥さまでしたが、調停員の説得によってようやく理解を示されたことで、ご主人が任意売却のご相談にいらっしゃいました。

ご相談者の希望

斎藤さん夫妻の希望は「奥さまを連帯債務者から外したい」ということでしたが、残念ながら、今回のケースはその希望を果たすことはできません。連帯債務者を外すには、現在の住宅ローン残債務以上の金額で売却するか、住宅ローンを他の銀行で借り換えするしかありません。既にご主人は個人信用情報上、ブラック状態になっていたため、借り換えをすることは不可能でした。

従って、任意売却で少しでも高く売却し、残債務を減らすという方法が最大限の解決手段になります。その上で、任意売却後に残る住宅ローンの債務処理です。自己破産という解決手段もあったのですが、奥さまへの負担と、現在自営している仕事への影響を鑑みて、今は自己破産しないという結論に至りました。

  • 妻を連帯債務者から外したい
  • 任意売却をして住宅ローンの負担を少しでも減らしたい
  • 自己破産はしたくない

解決のための行動と結果

問題解決

斎藤さん夫妻が当社へ相談に来られたときは、まだ住宅ローンの滞納が1度もない状況でした。任意売却は一定回数以上滞納したのち、任意売却の活動を始めることができるのですが、今回の住宅ローンの債権者(京都銀行)は滞納6回を越さなければなりません。ですので、斎藤さんには、まず住宅ローンを滞納することからはじめていただきました。

滞納をはじめるというと少し違和感があるかもしれませんが、任意売却は住宅ローンを支払えなくなった(返済不能な)方を対象とした売却手段になります。銀行は「滞納」という既成事実が発生しない限り、債務者を「返済不能」とは認識せず、原則、任意売却を認めてくれません。
そして、滞納開始から6ケ月が経ち、ようやく任意売却活動を開始。債権は京都銀行からその保証会社である京都信用保証サービスに代わりました。協議の結果、販売価格は2,500万円、これは、若干、相場よりも高い金額です。京都信用保証サービスは都市銀行や一般的な金融機関に比べると、比較的、高く提示される傾向にある金融機関です。
今回もその傾向がでた価格設定と言えますが、齋藤さんの自宅は比較的、人気のある地域で流通性も良いため、無謀な価格とまでは言えず、任意売却成功に十分望みを掛けることのできる範疇でした。

そして、販売開始から2ケ月後、購入希望者が現れました。しかし、そこで問題が発生、固定資産税の滞納により自宅に差押え登記が入ってしまったのです。この差押え登記が入った状態では任意売却はできません。すぐに役所と調整を図り、結果、滞納額20万円に対して、10万円を納付することで差押えを解除する旨の同意をこじつけました。ちなみにこの解除料10万円の捻出方法は、売却価格の中に費用として含めることができたため、齋藤さんには別途用意してもらう必要はありませんでした。これで無事、決済を迎えることができ、自宅を任意売却することができました。

ご相談者の現在

お二人の離婚は成立し、現在、それぞれ別々の生活をしています。親権問題については奥さまがお子さんを引き取り、夫はお子さんの養育費として毎月6万円を支払う。そして、月に2度のお子さんとの面会交流ができるということで離婚問題は決着したそうです。

そして、任意売却後に残った住宅ローンは約400万円。これについては、連帯債務者でもある妻にも請求がされるわけですが、ご主人が2万円/月、奥さまが1万円/月を返済することで、保証会社と話がまとまりました。

最後に

齋藤さん夫妻が当社へ相談に来られてから任意売却が完了するまで、1年弱の時間を要しました。当社へ来られるご相談者の多くは、既に滞納が始まっていたり、競売の一歩手前、あるいは既に競売の申立てがされた状況にある方がほとんどです。そういった場合は、1〜4ケ月程度で終了するのが一般的ですが、今回のケース、齋藤さんは、これまで一度も滞納していなかったため、まずは滞納をすることから始まりました。そのため、1年近くも時間がかかったというわけです。

「そんなに時間がかかるのか・・・」と、思われるかもしれませんが、この間、債務者の方は特に何もすることはありません。銀行から手紙や電話がかかってくることがありますが、その対応は難しいものではなく、特に負担に感じことはありません。

反対に、私達専門家の立場から言うと、齋藤さんのように、これから滞納が始める、または始まるという段階で相談に来られることを強く勧めています。なぜなら、解決のための選択肢があるからです。例えば、「自宅を売却せずに借金問題を解決させたい」という場合、任意売却でなく、個人再生という方法で解決することができます。しかし、既に住宅ローンを何ケ月も滞納していたり、すでに競売の申し立てがされてしまっていると、個人再生の検討ができなくなる場合が多くあります。また、任意売却する場合でも、時間をかけて販売活動する方がより高く売却することができ、その分、住宅ローンの残債務が減ります。

今回の齋藤さんの場合、個人再生は行いませんでしたが、相場よりも高く売却できたことで、奥さまの連帯債務者としての負担を最小限に抑えることに繋がっています。ですので、住宅ローンを滞納する前の早い段階で、相談に来られることをおススメします。

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この解決事例の著者

烏丸リアルマネジメント株式会社
代表取締役
矢田 倫基

宅地建物取引士
任意売却コンサルタント

これまでに1,200件を超える住宅ローン返済・滞納問題を解決してきた、任意売却のエキスパート。数多くの住宅ローン困窮者を救ってきた面談は「心のカウンセリング」と呼ばれ、関西圏のみならず全国から相談者が後を絶たない。

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