住宅ローンの毎月の返済額を見直しや変更をしてもらうことはできますか?

はい、可能です。貸付をしている金融機関としては、そのまま住宅ローンの返済が滞り事故債権となってしまうよりも、返済計画の見直しで少しずつでも支払いをしてもらい回収できる方がメリットがあるからです。ただし、当然のことですが、借入額そのものを減額することはできませんし、毎月の返済額を減額したり返済期間を延長したりすれば、支払総額は返済計画の変更前より多くなってしまうことにはご注意ください。

住宅ローンの返済に困窮されはじめると、まず最初に思いつかれるのは「毎月、これくらいだったら支払えるのにな…」と住宅ローンの毎月の返済額・返済条件を変更できないのだろうか? ということだと思います。

実際、住宅ローンを組んだ銀行などの金融機関へ相談すると、多くの場合その相談へ応じてくれます。貸付をしている金融機関としては、そのまま返済が滞り事故債権となってしまうよりも、返済計画の見直しで少しずつでも支払いをしてもらい回収できる方がメリットがあるからです。

当然のことですが、住宅ローンでの借入額そのものを減額することはできません。過剰な期待や勘違いは禁物です。そして、毎月の返済額を減額したり、返済期間を延長したりすれば、支払総額は返済計画の変更前より多くなります。当たり前のことですが、目の前のことで精一杯で余裕がない状態ですと、見落としがちなことですのでご注意ください。

それでは、どのように返済計画の見直し(リスケジュール)に応じてもらえるか?を具体的に挙げてみます。

一般的な金融機関の返済計画見直し(リスケジュール)

1.返済期間を延ばす

返済期間を延長することで毎月の返済額を減らすというものです。

例えば、 

というように、返済期間を20年から30年へ10年延長することで2.7万円減額することがきます。ただし、完済時の年齢が80歳を超えない範囲内でしか延長はできないとする金融機関が多くあります。しかし、当然のことながら、返済期間を延長することで、総返済額は増えることになります。

2.一定期間、毎月の返済額を減らす

転職や病気など一定期間だけ収入が減少するような場合、その期間だけ毎月の返済額を減らすというものです。例えば、半年、入院と通院で収入が30万円から20万円に減った場合、その減額率に合わせ半年だけ住宅ローンの返済額を減らすというものです。しかし、半年の見直し期間が過ぎてしまうと、その月から毎月の返済額は増えることになります。ですので、一定期間後、収入の見込みが必ずあることを金融機関に理解してもらわなければなりません。

3.一定期間、利息分だけ返済する

元本を据え置き、利息分だけ返済するというものです。これにより大幅な減額が期待できますが、これにも期間があり、一般的には1年から2年が猶予期間となります。金融機関によっては3年または5年まで期間を延ばしてくれることもありますが、お分かりの通り、猶予期間が長ければ長いほど、そのしわ寄せは後にきます。ですので、債務者は慎重に判断しなければなりません。同時に、金融機関も最終的に貸し倒れとならないように慎重な判断をしてきます。その為、新たに保証人を求めてきたり、両親や兄弟の所有する不動産を担保提供してくれないかと言ってくることがあります。

4.ボーナス返済の条件を変更する

ボーナス返済が負担になっている方は非常に多くおられ、特にボーナス支給なしとなれば、たちまち滞納が生じてしまうという方がおられます。そこで、毎月の返済額を増やす代わりにボーナス返済分を無しにするというものです。逆に、ボーナス返済分を増やすことで、毎月の支払いを減らすという選択肢もあります。

住宅金融支援機構の返済計画見直し(リスケジュール)

住宅金融支援機構では、「ご返済が困難になっているお客さまへ」と題し、ホームページ上で返済計画見直しの概要が紹介されています。見直し内容は一般的な金融機関とさほど変わりありませんが、最大の特徴は公にその仕組みが公開されていることと、相談の受け入れ体制が整っていることです。また、必要以上に保証人の設置や別担保の提供を求めてくることもほとんどないため、相談者にとっては安心して相談できる金融機関になります。

1.返済期間などの延長

経済事情や病気等で収入が減少し返済が困難になった方を対象に、毎月の返済額を減らすことができる

【条件】
(1)年収が機構への年間総返済額の4倍以下
(2)月収が世帯人数×64,000円以下
(3)住宅ローンの年間総返済額の年収に対する割合(負担率)が年収に応じて下表の率を超える方で、収入減少割合が20%以上

2.一定期間、返済額を減額

しばらくの間、返済額を減らしたい方を対象に、期間内だけ毎月の返済額を減らすことができる

3.ボーナス返済変更

ボーナス返済が負担になっている方を対象に、ボーナス返済月の変更、返済額の内訳変更、取りやめができる

(*)上記に示すそれぞれのタイプを組み合わせて利用することが可能
(*)返済期間の延長は最長15年、完済時の年齢上限は80歳
(*)元金据置期間の設定は最長3年

以上が一般的な金融機関、及び住宅金融支援機構の返済計画見直し(リスケジュール)になります。ここで押さえておかなければならないことは、上記提案は、総返済額は決して減額されることはないうことです。これは、収入の改善や返済見込みがない方は、さらに傷口を広げてしまうということを意味しています。
また、銀行へ相談に行く際、頭に入れておかなければならないことは、「銀行は常に貸し倒れリスクに備えている」ということです。銀行担当者がいくら親身に話しを聞いてくれたからと言って、迂闊に保証人などたててしまったりしてはいけません。後々、借金問題がさらに大きな問題となってしまいます。こういった要求を求められた場合は、早急に私達のような専門家に相談されることをおすすめします。

返済計画を見なおしで、個人信用情報がブラックになってしまいますか?

銀行の同意の元、返済計画を見直す場合は、ブラックになることは決してありません。ご安心ください。ブラックとなるのは、「代位弁済」、「期限の利益喪失」、「債務整理」などがされた場合だけです。また、返済計画見直し後、1度や2度の滞納でもブラックになることもありません。

返済計画を見直しで、団体信用生命保険がなくなってしまいますか?

返済計画を見直しても、団体信用生命保険が効かなくなることはありません。団体信用生命保険のそのほとんどは保証期限が80歳までとなっているからです。冒頭、「返済期間延長を延ばす」で“完済時の年齢が80歳を超えない範囲内でしか延長はできない“というのは、団体信用生命保険の保証期限が関係しているのです。

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この回答の著者

烏丸リアルマネジメント株式会社
代表取締役
矢田 倫基

宅地建物取引士
任意売却コンサルタント
NPO法人 住宅ローン問題支援ネット 理事

これまでに1,200件を超える住宅ローン返済・滞納問題を解決してきた、任意売却のエキスパート。数多くの住宅ローン困窮者を救ってきた面談は「心のカウンセリング」と呼ばれ、関西圏のみならず全国から相談者が後を絶たない。

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